近鉄ライナーズのラインアウトについて

昨日近鉄にはチャレンジに少し欠けていたということを書いたが

その象徴がラインアウト

マイボールを確保することに精一杯で、

相手ボールの時にスティールしてやろうという気概がない。

ラインアウトは失敗の宝庫である。

どれだけいいタイミングで2Mの選手が飛んで、うまくキャッチしても

投入されたボールがまっすぐ入っていなければ、

それだけで相手ボールになる。

2000年代に、オールブラックスのスロワーであるケビンメアラムが

当時のトライネーションズで、ラインアウトになるたびに目が泳いでたシーンが焼き付いている。

ではなぜ、まっすぐ投げられないのか。

それは、精神的なものである。

例えば、PTSD的なもの(大事な局面でのラインアウトでノットストレート)

投げようと思っている自軍の選手とトイメンに大きい選手がいる

また二番ショートを考えている時に、相手の一番先頭に大きい選手に立たれてしまったなど。

枚挙にいとまがない。

まっすぐ入ったとしても、今度はキャッチミスがある。

ボールが手につかないというのは、試合が始まってしまわないとわからない。

なんであんなボールが取れないのかと不思議に思う方も多いだろうが、

しっくりキャッチできない日というものは確実に存在する。

それは練習量に関係ない。

ラインアウトはそれだけ繊細なものなのだ。

昨日のゲームに話を戻すと、

クックとストーバーグ、松岡、トンプソンを一気にラインアウトで使える時があった。

この時、パナボールのラインアウトにプレッシャーをかけていない。

ワールドカップの後、スクラムの繊細さがよく語られるようになったが、

ラインアウトスクラムの比ではないほど繊細である。

ジャンパーがスティールに飛んでしまうと

モールにされた時に不利だという考え方がある。

私の考えは、相手がモールにするまでに関門が幾つかあるのであればプレッシャーをかけて、モールを組まれないようにしようということ。

関門とは、まずはボールがまっすぐ入ること。

次にキャッチングを確実にすること。

そしてキャッチした後、それを「確保」の状態にジャンパーが持っていくこと。

その次が着地した後にその他の選手が入るタイミングである。

キャッチャーの前に入るとオブストラクション。

遅れるとモールが組めない。

これだけ関門がある。

なぜ、プレッシャーをかけないのか。


ラグビーは格闘技だと言われる。

格闘技はつまるところ心理戦だ。

キンシャサの奇跡は心理戦の最たるもの。

ジョージフォアマンがアリを殴っても殴ってもアリは倒れない。

どころか、ラウンド終了のゴングが鳴ると、アリはフォアマンに大声で言う。

「お前の力はこんなものか」

フォアマンは、自分を信じられなくなり、リングに沈んだ。

そして、ラグビーもまた心理戦である。

ライナーズのFW、ラインアウトで相手にプレッシャーをかけよ。