コウノドリ第9話 結局妻にみせられなかったなぁ

この第9話は不育症に関する話で、3度流産し、4度目に無事出産する。

実は我が家もそうだった。
当時は不育症という名前すらなかった。
妊娠はするが、胎児の心臓が動かない。
我が家の場合、最初の流産は妊娠がわかって2週間もしない日だった。
職場に妻から電話があり、心臓が確認できないので早急に堕胎しないといけないとのことだった。
その後2年ぐらいした時だったか、ドラマで流産をする場面を見た妻が突然号泣したことがあった。

2回目はその3年後。
同じように妊娠がわかったが程なくしても心音が聞こえないとのこと。
この頃から、お互いが自分を責めていく。
父になる資格がないのではないか?
どこか欠けているから父になれないのではないか。
子供のいない人生も覚悟した。
寝る前に、考えまいとしても目を閉じればそのことばかり。
ドラマのように、患者に感情移入するドクターや看護師はいなかった。
なぜ心臓が動かないのかということについて、
妻の免疫が強すぎて胎児を異物として認識し、
白血球が胎児を攻撃しているのではないかと診断を受けた。
世田谷の大蔵病院で夫のリンパ球を毎月妻に注射するという方法で妻の体内に抗体を作るという
治療というか方法で子供を授かった夫婦が多くいるので受けてみますかと紹介を受けた。
そして一年間その方法を行い、妊娠。
しかし、またしても心音が聞こえず。
そこで、夫のリンパ球ではなく全く知らない人のリンパ球を注射しましょうということになった。
当時この治療法を取っているのは関東では大蔵病院のみだった。
だから何組もの夫婦がこの方法を試しており、私自身のリンパ球もどなたかに注射されていることだろう。
そして約一年後、また妊娠。
妊娠がわかったと同時に万が一に備え入院。
6人部屋の病室は流産経験者ばかりで、同じような辛い経験をした人たちが集まっていた。
いよいよ定期健診。
妻がニコニコしながらも泣きながら病室に帰ってきたので一瞬病室は心音が聞こえたのかどうかわからず、凍りついたが、妻の「動いてた」の声で病室の6人の妊婦さんが大号泣。
妻は妊娠期間のほとんどを入院していたおかげで、無事帝王切開で男の子を出産。
この時に入院してた妊婦さんは全員出産して退院していった。

出産後、母が毎月大阪の住吉大社の横にある種貸神社にお参りに行っていたことを知った。
妻の母は、妻との無理心中を考えていたと聞いた。

そうして生まれた我が子は、どれほど喉が渇いていても飲み物を少しばかり残す。
全部飲めよという私に、なぜか少しだけ残してしまうと話す。
進路に悩み、自分が生まれた地を訪ね、自分のきょうだいが祀られた鎌倉の長谷寺を訪れて出した結論は
医学部受験だった。
年が明けると、育ったところとはかけ離れた土地でセンター試験を受験する。