こんな時こそ、大きく失敗しよう!

サンウルブズがついに大敗を喫した。
いつかはこういう試合をするだろうとは思っていた。
それが現実になった。
その原因は、ボールのころがりが相手に都合よくバウンドしたということ。
そしてその原因は、シンガポールで同じ相手に勝てなかったことにある。
二、三年前のアイルランドニュージーランド遠征が同じようなものだった。
勝てるゲームを落とした次のゲームで、今日と同じように、ボールのバウンドがことごとくオールブラックスに都合よく入り、アイルランドは大敗を喫した。
勝たなければならないゲームを落とすと次はこうなるという良い見本。
今日のゲームの解説は、野澤とシンロクロウだったが、しゃべっていたのはほとんど野澤。
思えば、シンガポールでのチーターズ戦、ハーフタイムで、サンウルブズの大量リードに、こんなに楽しいスーパーラグビーは初めてというシンロクロウのコメントにイヤな予感がして、それが的中。
その意味では、今日のゲームでこんなに悲しいスーパーラグビーはないといってくれれば、後半の大逆転も期待できたし、シンガポールでやられたことをやリ返せというコメントがほしかったところだ。
こういう。ゲームでは、ちまちまとしたプレーは、よけいな失点を生む。
だから大きくプレーして、大きく失敗すればいい。
もともと力不足は明らかなのだから、チーム全員が開き直ればいい。
幸いアウェイだし、遠征の最終戦で、かえってやり直そうと。
選手のなかには、そういう開き直りが見られた選手もいたが、ああいうゲームでの意思統一は難しかったようだ。
相手が練習気分になれば、こちらもそういう気分で、練習と割り切ればよかった。
なにが通じて、なにがだめなのか。
大きくプレーして大きく失敗すればよかった。
今日のゲームのことは忘れて、帰国すればいい。

少し技術的なことをいわせてもらうと、やっぱりロック。
後半、スクラムを引いてテレビが映す場面が増えてくるが、そのときのサンウルブズスクラムでのロックの姿勢の高さをみてほしい。
大野とリアキモリの姿勢の高さのちがいをみると、私が指摘しているロックの押しがプロップに伝わっていないから押されるというのがわかってもらえるだろう。
だから、三番側から崩されるのだ。
いみじくも、野澤も前半のコメントで、後ろの押しがプロップに伝わっていないのではないかとコメントしていたが、まさにそのとおり。
ラインアウトでも、確保よりもそのあとの展開を考えているというコメントがあったが、まさにそのとおり。
選手たちは、もちろん手を抜いていない。誰もが精一杯やっている。
だからこそ、帰国したらもう一度フォワードを再編し直してほしい。
まだまだ厳しいゲームは続く。
こういう。ゲームもまたあるだろう。
そういうときは、開き直れ。
もともと全敗覚悟なのだから。
明るい話題もある。通用する選手が出てきている。

いま日本は地震で大変だ。
ラグビーで勇気を、なんて考えずに、自分たちができることをやろう。
結果的にそれが日本のためになる。
ときには失敗もいい。
地震のあとは、復興しかない。
被害がどれだけ大きいのかは、まだ明らかではないが、とにかく自分の役割を忠実にこなそう。
ラグビーも一緒だ。